特定非営利活動法人あいち・みえプロジェクトネットワークは、愛知県・三重県の活性化に貢献していきます。

愛する妻のために来日

カリムさんのご出身はどちらでしょうか。 　モロッコの中南部に位置する観光都市・エッサウィラという所です。大西洋に面している港町です。一年を通して心地よい風が吹いていて，ウィンドシティとも呼ばれています。また，海に面しているということもあり，ウィンドサーフィンが盛んです。そのほか，リゾート地としての側面だけでなく，世界遺産に登録されるレベルの歴史的な建物が多く存在し，芸術の街としての評価も高いところです。

　またモロッコはイスラム教の宗教圏ですが，皆さんが思っているほど厳しい規律に縛られていません。お祈りをする人もいればしない人もいますし，お酒を飲む人もいて，割と自由な雰囲気です。
モロッコというと暑いイメージですが。 　たしかに暑いですが，気温だけを見れば日本とそう変わりません。むしろ日本よりも乾燥していて風もあるため，涼しくさえ感じる方もいると思います。また，日本と同様に四季があり，昼と夜の寒暖差が激しいところが特徴です。
来日したのはいつ頃ですか。 　２００６年に来日しました。来日前に今の妻（日本人）とモロッコで知り合って，お付き合いすることになりました。その後，妻の故郷である愛知県へ一度行ってみたいと思ったことがきっかけで来日しました。当初は旅行で短期滞在する予定でしたが，彼女と結婚し子供も生まれたことで，ここ名古屋で暮らすようになりました。
来日後はどのような仕事をされましたか。 　元々料理が好きで，モロッコにいる時から料理に携わっていたので，来日後も主に飲食店で働きました。名古屋市内のカフェやレストランが多かったです。大須のメガケバブや新栄町のフランス料理店，港区のマクドナルド，モロッコ料理・カサブランカなどで働きました。あと，大須商店街に，自分で小さなファストフード店を出したこともありました。
日本での生活について，つらい経験や困ったことはありますか。 　日本語には苦労させられました。カフェやレストランでの仕事は接客ですが，日本語が分からないことでお客様と受け答えができなかったり，従業員同士のコミュニケーションもうまくいかないこともあり，ストレスが結構溜まりました。そのため，日本語学校に通って一生懸命勉強しました。

　そのほか，開放的で自由な雰囲気の故郷に比べて，色々とルールが厳しく，慣れるまで息苦しい感じがしていました。

名古屋のリトルモロッコ ～レストラン・モガドール出店～

モロッコレストラン「モガドール」出店までの道のりを教えてください。 　モガドールは，２０１５年１１月に出店しました。それ以前にも小さなファストフード店を大須商店街で経営していたのですが，もう少し大きめのレストランを自分でやりたいと思い，このモガドールを始めました。本当はもっと大須商店街近くに出店したかったのですが，場所が見つからず，結果的に上前津駅周辺になりました。
「モガドール」についてご紹介願います。 　モガドールは，日本では珍しいモロッコの家庭料理をメインにしたモロッコレストランです。当店は，日本向けのアレンジは一切せず，本場モロッコの味をそのまま提供しています。モロッコ料理が初めての方は敬遠してしまうかもしれませんが，そう思った方はまずはランチを食べに来てみてください。きっとモロッコ料理に夢中になるはずです。また，今はコロナ禍で自粛していますが，不定期でベリーダンスショーも開催しています。美味しいモロッコ料理と楽しいベリーダンスショーで盛り上がりましょう。コロナ禍の暗い世の中を明るくしていきましょう。
モロッコ料理の特徴を教えて下さい。 　モロッコ料理といえば，チキンや魚を使った伝統的なタジン鍋や世界最小のパスタ・クスクスが有名です。また，モロッコは野菜が豊富な国で，あらゆる料理にたくさんの野菜を使用しています。そのため，とてもヘルシーな料理が多いです。あと，モロッコのお酒といえば，ワインとカサブランカビールです。カサブランカビールはさっぱりしていて，喉ごしがいいです。
店名の由来について教えてください。 　私の故郷エッサウィラの別名がモガドールといいまして，故郷が大好きな私はこの名前を店名にしようと思いました。
コロナの影響はいかがでしょうか。 　お客さんがかなり減って厳しいです。飲食店がコロナ感染源といった間違ったイメージが定着してしまって，お客さんがどんどん離れて行っているように感じます。正直，やる気がなくなる時もあります。
今後の目標や夢について，可能な範囲でお聞かせください。 　私は，毎日同じことを繰り返す日々が嫌いで，例えば，会社員などは不向きだと思っています。また，自分の自由な時間というものも大切にしたいと思っています。したがって，将来的には不動産経営，執筆業，飲食店経営などを生業にして不労所得をメインにした生活を送りたいと思っています。いわゆる，セミリタイアですかね。好きな時に働いて，好きな時に遊びに行って，お金は自動的に定期的に得られるような仕組みを構築していきたいです。

多文化共生について，こう思う

日本は外国人が暮らしやすいところだと思いますか。 　暮らしやすいところだと思います。治安が良く安心して暮らせる点が素晴らしいと思います。また，欲しいものは何でも揃っていて，頑張れば何でも手にすることができるので，その点も素晴らしいと思います。
多文化共生社会をさらに実現していくために，もっとこうした方が良いというご意見がありましたらお聞かせ下さい。 　日本はいろいろな点で時間がかかる国だと思います。例えば，行政手続や最近話題のコロナワクチンもそうです。海外はもっとスピーディです。それは，ルール（法律），習慣，文化などが影響しているのだと思います。伝統を守ることは良い面もあると思いますが，それだけではないということも理解してほしいです。

　そのほか，日本人はもっと肩の力を抜いてリラックスした方がよいと思います。外国人から見ると，日本人は厳しくて細かくて古い（頑固）考えを持っているイメージです。もっと物事に対して，柔軟に対処する心構えを身に付けるとよいと思います。
愛知県の好きなスポットを教えて下さい。 　１位はやっぱり大須商店街ですね。多国籍な人々が大勢いていつも賑わっているところが大好きです。愛知で暮らす外国人は皆さん大好きな場所だと思います。次は知多方面にある常滑ビーチですね。港町で育った私はあそこのビーチに行くと故郷を思い出します。そのほか，金山駅周辺などもお気に入りのスポットです。

新型コロナウイルスの影響　そして故郷のコロナの現状

カリムさんの身の回りでどのような影響がありましたか。 　子供たちは学校に行けなかったり，毎日ステイホームを強いられているので，ストレスが溜まっていると思います。
故郷のコロナの状況はどうでしょうか。 　もともと感染者数はそれほど多くなかったのですが，ワクチン接種が進んでさらに少なくなっています。ワクチンについては，若い人の接種もほとんど完了していて，マスクをしている人は少数です。故郷は，もうコロナ前の日常に戻りつつあります。

最後に

同郷のモロッコ人の皆さんに，元気の出る応援メッセージをお願いします。 　とにかく頑張ってください。でも頑張りすぎないでください。たまにはモガドールに来て，息抜きしてください。