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TAKUMI 発掘 プロジェクト

ダッファさん

所属:名古屋大学院生命農学研究科応用生命科学専攻
分子生物工学研究室
出身:インドネシア中部ジャワ州


来日したのはいつ頃ですか。

2016年に来日しました。当初は,学術研究レベルが世界最高峰と言われるヨーロッパへの進学も考えていましたが,審査や試験などの条件がとても厳しかったため,ヨーロッパに行くことは断念しました。そして,別の進学先を探しているときに日本という国に出会い,そこから日本に対する興味関心が一気に高まりました。

名古屋大学を選んだ理由を教えてください。

2016年当時,日本は,グローバル30(G30プログラム)という大学の国際化を図る目的で導入された留学生の受け入れ制度を推進していました。これによって,英語による授業のみで学位の取得が可能になることから,多くの留学生が来日するきっかけとなりました。G30プログラムを導入する大学は日本国内に13大学ありますが,その中でも,名古屋大学はとても多くの学部でこの制度を取り入れていました。幅広い分野かつ高度な知識を日本の大学で学びたいと考えていた私には,名古屋大学がベストであると思い,名古屋大学を選びました。

ダッファさんは現在,どのような研究をされているのですか。

 タンパク質工学という分野の研究をしています。天然の物質を基礎に新しいタンパク質を人工的に作成し,天然のタンパク質よりも優れた機能を発揮できるようにするのが,私の研究です。タンパク質工学は,人々の生活をより豊かにすることを目的としていますが,具体的には医療への応用と産業への応用に大きく分けることができます。そして,私の研究は主に医療への応用を目指しています。

私たちの生活とどのように関連しているのでしょうか。

 「新型コロナウイルス」を知らない人はもはやいないと思いますが,私の研究はこうしたウイルスの治療薬の創製に直結しています。ほかにも,「ガン」や「アルツハイマー」の治療薬開発という分野で,タンパク質工学は大いに役立っています。皆さんがよく聞く「抗ガン剤」もタンパク質工学から作り出された抗体医薬品です。

今の研究を始めたきっかけを教えてください。

 私の実家が養鶏場を営んでいたということもあり,元々は食品学を学びたいと考えていました。食品の培養を通じて,より栄養価の高い食品をどのようにして効率よく作るかをテーマとして,将来は食品学の研究に携わりたいと思っていました。食品学の研究を活かして世界的な食糧不足問題を解消したいと考えたこともありました。そのため,名古屋大学ではバイオテクノロジーの研究を専攻したのですが,その時に,タンパク質工学という研究分野に出会いました。そして,次第に食品学よりもタンパク質工学の方に興味が出てきて,今ではタンパク質工学の医療への応用という分野が私のメーンの研究になりました。

ダッファさんの将来の夢を教えてください。

 タンパク質工学の研究を続けて,もっと多くの病気を治す薬を開発していきたいです。また,「治療薬」を世界中の人々に届けられるように,安価で大量生産する「治療薬の一般化」にも力を入れたいと考えます。

コロナの影響はどうですか。

 授業や研究,学会までもがオンライン上で行われるようになりました。しかし,実際に直接顔を合わせて行うやり方に比べると物足りないし,伝わらないことが多いと感じます。また,研究室の仲間とのコミュニケーションというものも減ってしまったと感じています。

TAKUMIからのメッセージをお願いします。

 自分の好きなこと,興味のある分野を探し出して,前に進んでみてください。科学の力で人々の生活を豊かにしたいと思っています。科学の力を信じてください。