地域経済動向 2020年 12月
中部経済産業局
最近の管内総合経済動向をみると、生産は、「増加している」。鉱工業生産の動向を指数(9月速報)で見ると、輸送機械工業、化学工業、プラスチック製品工業などが上昇したことから、前月比+5.9%と4か月連続の上昇となった。また、前年同月比は▲6.7%と12か月連続の低下となった。出荷は、輸送機械工業、化学工業、プラスチック製品工業などが上昇したことから、前月比 +4.7%と4か月連続の上昇となった。また、前年同月比は▲7.1%と12か月連続の低下となった。在庫は、鉄鋼業、汎用・業務用機械工業などが上昇したことから、前月比+1.3%と5か月ぶりの上昇となった。また、前年同月比は▲6.5%と4か月連続の低下となった。
個人消費は、「弱まっているものの、一部に持ち直しの動きが見られる」。百貨店・スーパー販売(全店ベース)は、全体では4か月ぶりに前年を下回った。なお、既存店ベースでは、3か月連続で前年を下回った。百貨店は、外出自粛等の影響により、全店ベースでは12か月連続で前年を下回った。なお、既存店ベースでも12か月連続で前年を下回った。スーパーは、衣料品等が振るわなかったことから、全店ベースでは9か月ぶりに前年を下回った。なお、既存店ベースでも8か月ぶりに前年を下回った。
また、百貨店・スーパー販売額指数 (9月速報、季節調整済み)で見ると、全体では前月比 +0.1%と2か月連続で前月を上回った。
公共投資は、「堅調となっている」。公共工事前払金保証請負金額は、「独法等」、「地方公社」は前年を下回ったものの、「国」、 「県」、「市町村」、「その他」が前年を上回ったことから、全体では2か月ぶりに前年を上回った。
輸出は、「増加している」。名古屋税関管内の輸出通関額(円ベース・速報)は、14か月ぶりに前年を上回った。品目別で見ると、「金属加工機械」などが減少したものの、「重電機器」、「科学光学機器」などが前年を上回った。
主要地域(国)別で見ると、アジア向け及びASEAN向けが7か月連続で前年を下回ったものの、中国向けが5か月連続で、アメリカ向けが14か月ぶりに、EU向けが10か月ぶりに前年を上回った。
雇用は、「需給が緩和している」。新規求人数は、「卸売業、小売業」、「製造業」、「宿泊業、飲食サービス業」などが前年を下回ったことから、全体でも14か月連続で前年を下回った。有効求人倍率は、2か月連続で同値となった。完全失業率は、東海では3四半期連続で悪化、北陸では2四半期連続で同値となった。
このように、管内の経済活動は、「依然厳しい状況にあるものの、持ち直しつつある」。
先行きは、新型コロナウイルス感染症の拡大、世界経済の下振れ、各国政策の不確実性の高まり、為替の動向、中小企業の経営環境の悪化などに注視が必要。各種政策の効果が生産や投資、所得の増加につながることが期待される。
(月刊 東海財界 2020年12月号掲載)