南伊勢市長
小山 巧 氏 インタビュー
どんな町ですか教えてください。
南伊勢市長小山 巧 氏
東西50㌔ほどの距離があり集落間の移動はほとんど車移動です。町営バスとデマンドバスを連携させて移動できるようにしていますが、ただ心理的には遠く感じる。高齢化率は50%を超しています。
工業系は?
地形的に立地が難しい状況です。山が険しく耕地は6,7%。企業誘致しようと思っても造成費が高くついてしまう。ただ、地域資源は豊かなので、これからはICTとかAIなどを活用したイノベーションを進め、若い人の定住促進につなげたい。
また観光面でも一次産業とマッチングして体験型観光を進めている。例えば、伝統的漁業の体験や、漁船に乗って海に行き定置網をあげて魚を獲るとか。また入江が静かなのでマリンレジャーやスキューバダイビングが楽しめるのでそのような地域資源を活用して若い人を呼ぼうと取り組んでいる。
民宿などは?
災害対策は?
また、事前復興と言っていますが、既に保育所や特別養護老人ホームなど5棟を高台移転しています。国の国土強靭化計画の地域計画の認定を三重県の市町ではうちだけが認定を受けています。南伊勢町の場合は漁業者も多く、漁業者の津波対策も大切です。水産業は1年のうち300日が海上。津波が来てもわからない。陸からサイレンなどを流して避難する実験も実施しました。南海トラフ地震への対策はしています。
南北格差問題については?
南北格差とは何を問題にしているのかですね。三重県南部は経済的には大都市周辺との格差や若者の動向などの問題は昔からある。
人口減少問題については?
今後は価値観をハッキリさせることが必要になってくる。何が豊かなのか。
こちらではムツが10尾100円、サバ3本100円という時もありますが、東京ではそのような値段では買えない。東京での生活費500万円レベルがこちらでは200万円程度で過ごせるとか。生活レベルで見ると違っているんです。
3つの戦略とは?
トップクラスの少子高齢化で人口は減り若者は流出している。町の魅力をどうつくるかが大切。帰ってきたくなる子育てや教育環境をつくる。仕事も必要だし、安心安全・快適なまちづくりが必須。
年少人口の減少をV字回復させるためには30年計画で町を変えようと今年から新たな総合計画のもと取り組みをスタートさせました。30年の長期ビジョンのもと10年ごとの戦略をたてて取り組む。最初の10年は子育て・常若教育、業のイノベーション・くらしやすさと3つの戦略のもと取り組む。アワビでも上等のクロアワビの陸上養殖を目指す。また海藻を食べる有害なウニを駆除する一方、キャベツなどを食べさせて養殖する。廃棄物活用ですが、始めたところです。
アイデアや工夫を見つけ進められればありがたい。地域にはそういうことが大切なのです。30年先に自治体自身が存続できるかどうかですから。
県や国に対しては?
若者定住施策も小さい職員力では限界がある。観光なども連携するにしても各町では無理。県の最初の声掛けが大事です。
国には過疎対策を期待している。令和2年末で特例法が終わるが、これからはハードからソフトまでの対策をお願いしている。
個人的な趣味などを教えてください。
趣味はバレーボールで県庁職員時代はやりましたが、最近は月1回のゴルフ。
後は家での園芸草花と91歳の母親の野菜作りの手伝い。座右の銘は「願えば叶う。思えばできる」イチローの日々の努力と一緒で、強い思いがないと続かないので自分に強く思い込ませるようにしています。