県内総生産3年連続の増加、実質8兆円余
建設、宿泊サービス業などの伸びが寄与
三重県戦略企画部統計課が「平成29年度・三重県民経済計算速報」(早期推計)をまとめた。これは県民の経済活動によって1年間に生み出された成果(付加価値)を生産、分配、支出の面からマクロ的に把握して、県経済の規模、産業構造、所得水準などの実態を包括的に明らかにしたもの。
県内総生産は、名目で8兆2998億円となり、3年連続の増加、実質で8兆99億円、2年連続の増加。1人あたり県民所得は327万5000円、3年連続の増加となった。18年以降で見ると、県内総生産は名目で2番目に高く、実質では最も高くなり、1人あたり県民所得は2番目に高くなっている。
理由として県内総生産は生産側で産業部門の運輸・郵便業、電気・ガス・水道・廃棄物処理業などで減少したが、建設業、宿泊・飲食サービス業などで増加に転じた。さらに輸入品に課せられる税・関税が原油や天然ガスの輸入価格の上昇を受け同11・5%の増加で全体として1%増を達成した。
1人あたりの県民所得は、企業の利潤なども含めた県経済全体の所得水準を示す指標であり、県民個人の所得や賃金水準を示す値ではないが、県民雇用者報酬が2連続で、企業所得が3年連続で増加し、さらに財産所得が3年ぶりの増加にとなった結果、増加した。
また、地価調査結果もまとまり、県内住宅地212地点、商業地85地点の計317地点の令和元年7月1日現在の価格を判定、発表した。
住宅地は、全体では対前年平均変動率がマイナス1・5%となり、27年連続の下落となった。市町村別では朝日町が前年の横ばいから0・3%の上昇に転じた一方、尾鷲市、木曽岬町と南伊勢町がマイナス3・6%と下落率が最も大きくなった。地価が上昇した地点は20地点。県全体の平均価格は1㎡あたり2万8800円で、最高価格地点は津―5(大谷町)の1㎡あたり9万8000円だった。商業地もマイナス0・9%となり、28年連続の下落となった。
県の注目すべき取り組みとしては、会員制交流サイト(SNS)を活用した外国人向けの旅行商品の開発・PRだ。県内を訪れる観光客が過去最多を記録する中、外国人の宿泊客数が伸び悩んでいるからだ。国も後押しし、中部地方環境事務所(名古屋市)は、昨年3月、志摩市の横山展望台に三つの展望デッキを約7億円で整備した。「国立公園満喫プロジェクト」の一環。〝インスタ映え〟する写真が撮れると外国人に受けているという。
(月刊東海財界 2019年11月号掲載)