菰野町長
柴田 孝之 氏 インタビュー
まずは、菰野町のお国自慢からうかがいます。
菰野町長柴田 孝之 氏
柴田町長 当町には湯の山温泉や御在所岳といった観光資源があり、三重県で唯一のスキー場もあります。夏にはハイキングや登山、冬ならスキー、これらと併せて温泉も楽しんでいただくことができます。他県の観光地と比べても、わが町は決して劣っていないと感じます。また、菰野高校の甲子園出場で全国的に知られるようになりましたね(笑)今年3月に新名神高速道路の「菰野インターチェンジ」ができ、交通の便は格段によくなりました。当町から名古屋や京都などへ気軽に行けるようになり、町民の皆さんは交通の便の良さをすでに実感していただいています。
ただ、これらのことは、町外の方々にはまだあまり知られていないように思うので、どんどん情報発信していきたいですね。
湯の山温泉は昔から有名で、泉質も素晴らしい。名古屋の方でさえ、知らない方も多い。
三重県には湯の山温泉をはじめとした古くからの温泉が多数あり、それが強みです。どんどんPRしていきますね。
産業面はいかがでしょうか。
町内には多くの企業や工場がありますが、まだまだ企業誘致できる余地はあります。地図を見ながら、ここに来てほしいな、あのあたりにどうかな、などと思いを巡らせています。
農業は、米の生産が中心ですね。現在は、イネ科の一種であるマコモの栽培に力を入れています。町名の由来になったといわれる作物ですが、国内ではあまり流通していません。このマコモの加工を障がい者の方に担っていただくといった「農福連携」による取組を進め、さまざまな商品を道の駅で販売することなどにより、産業の発展や観光振興につなげていきたいと考えています。
また、地域特有の作物を活用した他の自治体の取組を参考にしながら、盛り上げていきたいとも考えています。
2019年3月17日の新名神高速道路新四日市JCT-亀山西JCT間の開通は、菰野町にとって大きなチャンスととらえています。菰野インターチェンジ周辺の開発はこれからですが、インターチェンジ近くに商業施設を誘致できれば地域の活性化につながるのではないかと期待しています。
おっしゃるように開発ポテンシャルのまだまだ高い町ですね……。
当町の人口は約4万2,000人で、ほぼ横ばいで推移しています。四日市市やいなべ市など町外で働く方も多いですが、町内企業で働いている方も多く、完全なベッドタウンではありません。近鉄湯の山線沿線などの市街化区域では宅地開発が進み、若い方や子どもが増えてきていますが、そのほかの一部地域では高齢化が進み、人口が減少傾向にあります。それを何とかしないといけないと考えています。
今後の振興策についてはどうでしょうか。
観光から生活、働く場、買い物までコンパクトにそろう住みよい町にしたいと考えています。観光地のアピールも大切で、一度来て終わるのではなく、もう一度来てもらえるような工夫が必要だと考えています。本年度、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)という国土交通省が進めているプロジェクトに選ばれました。スマートフォンなどを利用して町内の鉄道、バス、タクシー、オンデマンド交通などの交通機関の案内や予約、配車などに活用できるシステムを構築し、いずれは観光名所をつなぐ観光客向けのサービスへの展開も考えています。こうしてインフラ整備が進めば菰野町の名前も知られるようになり、企業にも注目していただけるチャンスになると信じています。
また、子育て世代の方々が安心して生活できるような施策を展開していきたいと考えています。いずれも、住みよいまちづくりのための施策です。
農業にも力を入れます。農家は高齢化で担い手がいない、その一方で、若い方の中には農業への関心が高い方もいる。両者を結び付けコンピュータ管理などの新しい技術を導入して安心できる農業を考えていきたいです。
県もしくは国に地域振興の面でどんな要望がありますか。
町民の皆さんからは、「交通安全や風水害に対して安心できるまちづくりをして欲しい」という要望を多くいただいています。特に通学路の安全確保には、気を配っていきたいと考えています。
プライベートな質問ですが、ご家族は。
妻と小学2年生の息子がいます。家族中心の生活を心掛けています。家族が観光地へ行こうといえば付き合います。私は運転手ですが、運転は好きなので全然苦になりません。
愛読書は。
当町が発行している「歴史こばなし」という本があります。全8集で、第1集を昭和50年代に発行していて、役場本庁、各地区コミュニティセンター及び道の駅で販売しています。神社仏閣を訪れる機会があるので、この本で勉強しています。
ほかには、高木彬光という推理作家の「白昼の死角」が好きです。天才的詐欺師が物語の中で、最初から詐欺の手口を明かしながら完璧に遂行してしまう。
また、司法試験の受験指導をしていたので、法律に興味があります。漫画「ナニワ金融道」も、法律的に内容が濃く面白いので読みます。話としてもしっかりしていますよ。
座右の銘は。
「天命を待つしかないほど人事を尽くそう」ですかね。普通は人事を尽くして天命を待つといいますが、人事は日頃から尽くして当たり前で、いつも天命を待つということ。これを肝に銘じています。