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地域経済動向 2019年 12月

中部経済産業局

 生産は、鉱工業生産の動向を指数(9月速報)で見ると、輸送機械工業、化学工業、電子部品・デバイス工業などが低下したことから、前月比▲2.5%と3か月ぶりの低下となった。また、前年同月比は+1.3%と2か月ぶりの上昇となった。

 主力の輸送機械は、乗用車及び自動車部品は高水準で推移。生産用機械は、金属工作機械を中心に弱い動き。電子部品・デバイスは、スマートフォン向け等を中心に低水準。以上のことから、「一部に弱い動きがみられるものの、高水準で推移している」と判断した。「高水準で推移している」は14か月連続となる。

(前月比:輸送機械工業 ▲3.2%、生産用機械工業 +3.4%、電子部品・デバイス工業 ▲10.6%)

 個人消費は、管内商業動態統計(販売額)が、前年同月比+13.0%と全体として2か月連続で前年を上回った。百貨店は、高額品や衣料品に動きがみられたことから、全店ベースでは2か月連続で前年を上回った。なお、既存店ベースでも、2か月連続で前年を上回った。スーパーは、衣料品等に動きがみられた。コンビニエンスストアは、カウンター商材、中食が引き続き好調であったものの、前年にたばこ税増税前の駆け込み需要があった反動から前年を下回った。家電販売は、生活家電等が好調であった。乗用車販売は、普通車、小型車及び軽自動車が前年を上回った。ドラッグストアは、新規出店効果がみられた。以上のことから、30か月連続で「緩やかに持ち直している」と判断した。

(前年同月比:管内商業動態統計(販売額) +13.0%、百貨店 +24.5%、スーパー +6.4%、コンビニエンスストア ▲1.4%、 家電大型専門店 +52.7%、ドラッグストア +22.4%、ホームセンター +12.2%、乗用車販売 +12.8%)

 公共投資は、公共工事前払金保証請負金額が、単月では+0.5%と前年を上回ったものの、年度累計では+9.4%と3か月ぶりに一桁増にとどまったことから、判断を「増加している」から「おおむね横ばいとなっている」に下方修正した。判断変更は、 2019年9月発表(上方修正)以来、2か月ぶり。下方修正は2019年5月発表以来、6か月ぶり。

 雇用は、有効求人倍率が1.86倍と2か月連続で前月を下回った。1.90倍を下回ったのは20か月ぶりになったものの、全国(1.57倍)と比べて高い水準が続いている。また、完全失業率は、北陸では2四半期ぶりに改善、東海では2四半期連続で悪化したものの、全国と比べて低い水準であることから、40か月連続で「労働需給が引き締まっている」と判断した。

 先行きは、世界経済の下振れ、各国政策の不確実性の高まり、為替の動向、中小企業の経営環境の悪化などに注視が必要。各種政策の効果が生産や投資、所得の増加につながることが期待される。

(月刊 東海財界 2019年12月号掲載)

日銀名古屋支店

 東海3県の景気は、拡大ペースが緩やかになっている。

 最終需要の動向をみると、輸出は引き続き高い水準にあるが、2四半期連続で減少した。

 設備投資は、2019年度下期は、上期を上回るペースで増加する計画となっている。業種別にみると、製造業では能力増強投資を先送りする動きは一部にとどまっており、生産ラインや物流の効率化投資、自動車の研究開発投資を中心とした増加が見込まれている。非製造業では運輸・流通業を中心に、インフラ関連投資や省人化投資のほか、新規出店・改装投資の増加が引き続き見込まれている。

 個人消費は、各種販売指標が振れを伴いつつ増加している。耐久財や高額品を中心に、消費税率引き上げに伴う駆け込み・反動がみられている。また、10月は、台風19号が売り上げを押し下げた。

 住宅投資は持ち直し傾向にある。7〜9月の新設住宅着工戸数は、減少した。利用関係別にみると、消費税率引き上げ前の駆け込みがピークアウトした持家と貸家が減少しているものの、分譲は高水準となっている。

 公共投資は高めの水準で推移している。9月の公共請負金額は増加した。今年度入り後の請負金額は、前年度実績を上回っている。

 こうしたなかで、生産は7〜9月の鉱工業生産が、3四半期ぶりに減少した。輸送機械など幅広い異業種で減少しており、弱めの動きとなっている。

 雇用・所得情勢をみると、労働需給をみると、失業率は低水準、有効求人倍率は高水準となっている。雇用者所得は、一人当たり名目賃金を主因に増加している。

 消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2016年12月以来のマイナスとなっている。

 金融環境をみると、東海3県の金融機関(国内銀行、信用金庫)の貸出は地域金融機関貸出の増加を主因に、前年比伸び率が+1%台となっている(末残前年比7月+1.9%→8月+1.9%→9月+1.8%)。

 東海3県の貸出約定平均金利は、ストックベースでは緩やかに低下している(地域銀行:6月0.801%→7月0.797%→8月0.796%、信用金庫:6月1.158%→7月1.155%→8月1.151%)。一方、新規ベースでは、下げ止まりつつある。

 東海3県の金融機関(国内銀行、信用金庫)の預金は、個人預金、法人預金ともに増加しており、前年比伸び率が+1%台となっている(末残前年比7月+2.4%→8月+2.8%→9月+1.9%)。

 先行きについては、高水準の企業収益と雇用者所得の改善を背景に設備投資と個人消費の増加が続くなか、景気の緩やかな拡大が続くとみられる。

(月刊 東海財界 2019年12月号掲載)