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三重トヨタでも全車種販売

トヨタウン名張店外観のイメージイラスト

名張、四日市店など大型店開業で対応

 コロナ禍が続く中、東海3県(愛知・岐阜・三重)6月企業短期経済観測調査(短観)は、「全産業」の業況判断指数(DI)が前回調査から30ポイント下落し、過去最大の落ち込みとなった。しかし、自動車などの一部の業種で先行き判断が上昇に転じている。

 3カ月後の先行き判断を見ると、全体(25業種)の半数近い12業種が上昇に転じるという。これは、工場の生産再開による電力需要の回復を見込む電気・ガスが29ポイント、非鉄金属が27ポイント、自動車が26ポイント上昇し、インバウンドの激減に苦しんだ宿泊・飲食サービスも底を打って5ポイントの上昇となっている。日銀名古屋支店の担当者は、海外需給の先行きが改善に転じ、輸出製造業が集まる東海にとって明るいニュースだとし、7月以降は自動車関連製造業を中心に増産に転じ、2020年度の設備投資も高水準の維持が見込まれる、という。

 そんな中、トヨタ自動車は、従来の販売戦略を改め、5月から系列店で全車種(56種)の販売を開始した。これに伴い、三重トヨタ(本社、津市)は5月に開業した四日市店に続き、6月にトヨタウン名張店をオープン、集客を図る戦略に出た。名張店は、トヨタディーラーとしては国内最大級の店舗。敷地面積約7700㎡、1階フロア面積約1875㎡に、展示車数は屋内最大の21台を誇る。店内にはフリードリンクで楽しめるオープンカフェ、大規模遊具を備えたキッズスペース、車検入庫時にゆったり過ごせるラウンジなど多彩なスペースを用意。すべての世代の顧客が気軽に来店し、楽しめるような工夫を随所にちりばめた。

 竹林憲明社長は、「弊社は、トヨタの販売会社として日本で3番目に古く、今年創業77年です。創業から支えていただいたお客さま、地域の皆さまに深く感謝するとともに、改めて自社、お客さま、そして地域という〝三方〟に、私どもの新しいスローガン『人に、新しい』をお届けし、社業に励んでまいりたいと思います」と述べた。

 7月1日、ニューヨーク株式市場で米電気自動車(EV)メーカー、テスラの時価総額が2077億ドル(約22兆3000億円)となり、初めてトヨタ(約21兆7000億円)を上回った。テスラの株価は過去1年で5倍近くに急騰している。「モデル3」の販売が好調なほか、中国・上海工場の開設にこぎ着けるなど投資家の期待を一身に集めている格好だが、さてトヨタは、日本国内の販売店の再編、販売てこ入れなどで巻き返しの一助になるかどうかだろう。

(月刊東海財界 2020年8月号掲載)