新型コロナウイルスの影響各地に
対策費9400万円盛り込む三重県補正予算案
三重県は、3月県議会の本会議に、新型コロナウイルス対策費を盛り込んだ最終補正予算案など19議案を提出した。一般会計補正予算案の総額は82億9400万円となった(3月19日採決予定)。鈴木英敬知事(45)は「緊急度に応じて対策を講じる。安心で穏やかな日常を取り戻すため強い決意で取り組む」と述べた。
コロナ対策費は約6100万円。帰国者・接触者外来を設けている医療機関への配布に備えてマスクや防護服を備蓄するほか、医療機関に、空気清浄器設置費用約90万円を上限として全額補助するほか、県立高校や特別支援学校が消毒液などを購入する費用も盛り込んだ。
東京商工リサーチによると、「業績予想の修正」や「お知らせ」などで新型コロナウイルスの影響や対応に追われている上場企業は363社あるという。そのうち従業員に感染が判明した企業は6社(国内5社、国外での現地法人1社)。業種別では製造業201社、サービス業50社、小売業30社など。今後の影響が気になるところだ。
観光客数にも大きな影響が出ている。三重県では、伊勢市などによると、伊勢神宮の参拝者が、クルーズ船の集団感染が明らかになった2月中旬以降に減少に転じ、2月の参拝者数は前年を2万人下回る約71万人となった。鳥羽市内の旅館やホテルでは宿泊キャンセルが相次いでおり、2月1日以降は約7000人もあるという。深刻だ。
一方、いい話題としては、県は、太平洋に点在する島しょ国・地域(19)を招き、3年に1度開く「太平洋・島サミット」で、2021年の開催地に「志摩市を中心とした伊勢志摩地域」が決まったことを受け、鈴木知事を本部長とするサミット推進本部を設置した。「三重の独自性を世界に発信するチャンスを生かしていく」と知事。
その志摩市では、海女さんが採った天然サザエを使用した缶詰を食品卸売り大手「国分グループ本社」(東京都中央区)と共同開発、土産物店やインターネットを通じて全国で販売を開始した。同市では県全体の4~5割に当たる200~250tのサザエを漁獲しているが、市場価格が低迷し、販路拡大の取り組みとして企画した。「伊勢志摩産サザエ 水煮」55g入り2500円(税別)。塩だけで味付けし一粒一粒手作業で仕上げた。一つでも多く明るい話題が増えればいいのだが……。
(月刊東海財界 2020年4月号掲載)